2年前、スマホを購入した。販売店の女性店員が契約書の説明をしてくれるが、言っていることが良く分からない。「このアプリをインストールしておくと、契約時の料金はお安くなります。明日これを削除しても、お安い料金のままでスマホを使うことができます。どういたしましょうか?」と聞いてくるので、分からないままに、「そういうことなら、付けておいてください。」なんて答えてしまう。未だに削除していないのだから、使わないアプリの料金を払い続けているのかもしれない。そんなこんなで、何枚かの契約書にサインをするのに、1時間ほど掛かった。契約内容を分かってスマホを買っている人なんか誰もいないんじゃないかと思うほど、ややっこしい世界である。PCを買うときだって、こんな手間は掛からない。
スマホの設定が完了するまで時間ができたので、「ところで、ガラ系携帯はいつごろ無くなるんですか?」と聞くと、「エッ、そんな話があるんですか?」と逆に聞き返された。「ガラ系携帯が無くならないなら、スマホなんかにしなかったのに…」と言うと、女性店員は「お客様の契約は、この先2年間契約を破棄できないことになっています。破棄するときは、違約金が発生します。」と言われてしまった。そんな契約書にサインをしていたのかと思ったが、2年間だけ使ってみようと持ち帰った。
1週間後、充電中にスマホがボーンと音をたてた。概略スマホの機能を確認してみたが、正常に動くみたいなので、一晩充電を続けてみた。しかし翌朝、充電中の赤ランプが点灯したままだった。早速販売店に持ち込んだら、女性店員が「これは大分熱いですね。少し調べさせてもらいます。」と奥の部屋に下がり、待つことになった。カウンタに呼び出されて、「お客様のおっしゃる通り、電池が破損していましたので、交換させて頂きました。」と聞かされた。「基盤は検査した?」「しておりません。」「あれだけ大きな音がしたんだから、大電流が流れているはずだ。基盤がダメージを受けている可能性がある。そもそも基盤が悪くて、電池が壊れたのかもしれない。壁の向こうにいる男の人を呼んできてくれ。」と頼むと、スマホを持って壁の向こうに消えて行った。暫くして女性店員が現れ、「本体ごと交換させて頂きます。」と対応を変えてきた。いい加減な指示をした責任者は現れず、ハードのことなど分からない女性店員を連絡役に仕立てて表に出て来ようとしない、こういう男は実に気に要らない。
メールを受信すると青ランプが点滅するのだが、白ランプが点滅するときがある。白ランプは仕様書にも書いていないので、別の男性店員に聞いてみた。「白ランプは仕様書にありませんね。」と回答があっただけで、調べますという姿勢も無かった。もう2年後は使わないのだから、いいやと黙ってしまった。結局このスマホを有効に使ったのは、「やまナビ」アプリでGPSのログを採り、電波の届かない山の中で、自分の位置を国土地理院の地図に表示する機能だけだった。
2年が経つと、スマホの通話料金の高さが社会問題となって、総務省が携帯電話大手に料金を下げるよう指導を行うようになった。近いうちに通話料金が下がるのならと、契約を継続することにした。そのため、android系スマホの本を買ってきて使い方の勉強した。出張の多かった現役ならスマホは便利だと思うが、日頃家にいて横にPCがあるのだから、どうもスマホの使い道が見えてこない。そんなときに、docomoの社長が「携帯料金に見合うサービスを、提供できるよう努力していく。」と新聞で言っていた。別の言い方をすると、「今の携帯通話料金は高いと認めるが、安くはしない。今のサービスを使いきれないユーザーのことは、考えていない。」ということだ。また契約に失敗した。